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なぜ自然を守るの ?

Why do we need to keep nature?

   【人間が生きる上で一番大切なものは 何 ? 】

 

  そう尋ねられて「お金」と答えるヒトは多いと思います。

確かに人間の社会に限って云うならばそうかもしれません。

 

 しかし、ヒトという生き物は人間の社会だけで生きているわけではありません。それ以前に、この地球という星の上に生きているという事を思い出して下さい。

 この星が46億年という、とても長い年月を経て作り上げた環境の中で生きることを許された生き物なのだと云うことを思い出して下さい。

 

 そして、この星の環境を整えてくれたのは、数え切れないほどの自然界の生き物たちの働きとその仕組みなのです。

 

 例えば、植物は光のエネルギーを受け、二酸化炭素と水によって「光合成」を行います。その光合成によって植物は生きるために必要なでんぷんや糖分といった栄養を自分で作れる独立栄養生物です。

 

 しかし私たちヒトや動物は、その栄養を自ら作ることは出来ません。直接的に、或いは間接的に植物を食べることでしか生きられない従属栄養生物なのです。

 またヒトや動物は植物が光合成の過程で放出してくれる酸素がなければ、この星の上では生きる事の出来ない存在なのです。

 

 このように植物だけが行うことの出来る「光合成」は、この地球上に生きるほかの生物には真似のできないとても偉大なはたらきであり、私たちヒトがこの星に生きる上で、なくてはならない存在なのです。

 

        【生態系と生命の循環】 

 

 なくてはならない存在は植物ばかりではありません。

「生態系」という概念をご存じでしょうか ?

 

 地球上にすんでいる植物や動物、微生物とったすべての生きものは、土や水を利用し、そして大気に包まれた環境の中で生きています。そして、太陽光をエネルギー源として、生きものとそれらを取り巻く環境すべてが相互関係によってひとつのまとまった仕組みと働き(システム)を形成しています。

このようなまとまりのことを「生態系」といいます。

 

 例えば動物は、他の生きものを食べて生きています。

草食動物と呼ばれる動物は、植物がたくわえていた有機物を取り込みます。

 そして次に草食動物を食べる雑食、或いは肉食動物がいますが、これらのつながりを最初に遡ると、後者の雑食、肉食動物は草食動物を食べることによって植物の有機物を取り込んでいることになるのです。

 

 さらに動物は呼吸をする事によって二酸化炭素を放出します。その二酸化炭素は植物の光合成には不可欠な材料です。

 つまり、植物もまた動物たちの存在によって生かされていると云えるわけです。

 

 更に、このような相互関係の中には分解者と呼ばれる生き物たちがいます。

 例えばミミズ類などの小動物や微生物といった落ち葉や動物のフンや死骸を食べて生きる生き物たちのことですが、分解者たちはフンや死骸をを細かく細かく形を変えて行き徐々に無機物へとする働きを担っています。

 そして分解された無機物は、園芸などで使う肥料と同じように、植物の養分となるので分解者もまた植物にとって大切な存在となります。

 

 このように、自然界の生き物たちの生命は地球環境の中で常に循環をしています。そして勿論、これらの生命たちは、土、水、大気といった環境とも相互関係を構築し絶妙なバランスを保ちながら互いの生命を支え合っているのです。

       【脅かされる生命の土台】

 

 このように安心して飲める水、きれいな空気、植物や作物を育む土、心地よい木陰、住まい…。私たちの地域の生命や暮らしを支えているのは、健全に循環し続ける「自然のしくみ」であり、その恩恵の持続を約束してくれるのが、地球誕生以来、脈々とつながる自然界の様々な生き物の生命の営みと、様々な関係による「生物多様性」が育む、豊かで強固な自然環境という土台なのです。

 

 私たちヒトも暮らす地球には約3,000万種の生物種が存在するといわれています。しかし現在、人類社会の近代化に伴う環境汚染や大規模開発、或いは乱獲や外来種の持ち込みなどにより、地球上の生物種が毎年4万種も絶滅をしていると

いわれ、その絶滅のスピードは恐竜時代の絶滅速度よりはるかに速く、このままでは近未来、生態系による健全なサービスが受けられなくなり、このままでは人間社会が存続できなくなるのではないか…という危惧が高まっています。

 

          【会津では 今 】

 

 私たちの暮らす日本でも、3,155種が絶滅のおそれのある種とされていますが、その生物の約半分は、かつて薪炭地や水田などに利用され、人の手が加えられる事により独自の自然環境が形成され、独特の生物相が発達し生物の多様性が高く、そして多くの希少種の重要な生息地となっていた「里地

・里山」に生息しています。

 

 近代まで、その豊かな生態系サービスにより、美味しい米や野菜作り、そして林業などを暮らしの糧としてきた会津も

そのほとんどの地域がこの「里地、里山」す。

 

 しかし近年、その会津の里地・里山の環境も社会状況の変化による薪炭林や人工林の放置、耕作の放棄などにより劣化し続け、生物の多様性が低下し続けています。

 

 ちなみに近年問題となっている野生動物による農業被害の増加は、この多様性の劣化による野生動物の生活環境の悪化が大きな要因であると考えられています。

 

 彼らの本来の棲家である森が、十分な恵みをもたらしているならば、彼ら野生動物はわざわざ大きなリスクを冒してまで、ヒトの世界には立ち入らないはずです。

 現在の野生動物たちの姿は、食べるものを求めてさ迷い奪い合う、近未来の私たち人類の姿を暗示しているのではないのでしょうか ?

         

       【生物多様性を守り伝える

 

 どんなに時代が進んでも、私たちヒトはこの星に暮らすしかありません。そして生きるためには自然界の生き物たちの営みが提供してくれる様々な自然の恵みに頼らざるをえません。

 

 子供たちが、その次の世代が、その自然界からの恵みを十分に享受出来る環境を守り伝えること。

 そしてヒトも含めた自然界すべての生き物が安心して暮らせる環境を守り、未来に伝えること。

 

 それが私たち大人の責任であると考え、日本自然保護協会とその会員は自然環境の保全につながる様々な活動を続けています

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