会について
about us
米作りや野菜作りの際に殺めてしまった虫や小動物たちの魂を、野の花々で美しく飾り付けた大きな虫かごに集め、供養をし、川に流し、黄泉の国へ送り、そして五穀豊穣を祈るという「虫送り」という民間伝承行事。
かつては日本各地の農村で、子供らが中心となって執り行う年中行事として普通に行なわれていましたが、時代の変遷と、様々な要因によって廃止に追い込まれ、いずこも今や風前の灯となっております。
私の住む会津美里町、尾岐地区でも町の無形文化財に指定され、地区の皆さんによる運営により、毎年7月19日に行なわれて来た高橋虫送りも、ご多分にもれず、地区による運営が難しくなり、2023年の開催を最後に廃止となりました。
ですが「何とか工夫をして、続けられないものか」という想いを持つ、地区内外の有志によりまして、任意団体「高橋の虫送りをつなぐ会」を設立し、2024年より再スタートを致しました。
では何故そこまでしても続けたいのか。
一つには「歴史的価値の高さ」があります。
一般的に虫送りは江戸時代から始まったとされていますが、古事記·日本書紀と並ぶ、重要な歴史書のひとつと言われる「古語拾遺(こごしゅうい)」という歴史書の中には、神代、つまり縄文から弥生期には、既に「虫送り」のような祭事が行なわれていた事が記されています。
つまり、虫送りという行事は、単に一地域の民間伝承文化としての価値だけに留まらず、我が国の稲作文化と共に行なわれてきた、非常に歴史的価値の高い祭事であるという事なのです。
更に虫送りは命の尊さ、自然の大切さを、次の世代に伝える場である。ということ。
ご存じの通り、私たちの衣食住に欠かせないものは、その大本まで辿れば、すべて自然の恵みによって提供されています。そしてその豊かな恵は、その自然を構成するバクテリアや菌類、草木、そして大型の鳥獣たちまで、様々な命の営みによって生み出されています。
その中には田畑を害する生きものたちも存在しますが、その存在にもそれぞれ命があり、それらの働きが、巡り巡って私たちに豊かな恵みを与え、私たちを生かしてくれている。
自然と共に生きていた昔の人達は、それを知っていたに違いありません。
だからこそ殺めてしまった生きものたちの魂を、自分たち人間と同じように供養をし、仏様に昇華させ、弔う事によって、また豊かな実りがありますようにと祈った。
それが虫送り行事の本質だと考えます。
そしてその歴史的価値や「命の学びの場である」という事をご理解をいただいた、地元の小学校が、体験学習として取り上げて下さり、開催日の参加は勿論、年間を通したカリキュラムとして取り上げてくださるようになりました。
また、2025年の秋口にはミニシンポジウムを開催することができ、少しづつですが行事継承への関心も広がりつつあります。
勿論、課題はたくさんあります。
しかし、わたしたちはこの虫送りを、命を軽んじる風潮の蔓延する今だからこそ、次世代につないで行かなければならないと考えて活動しております。
地区コミュニティと先輩方の不断の努力によって長年にわたり続いた来た、他に類を見ない虫送り行事「高橋虫送り」。今後ともご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。
高橋の虫送りをつなぐ会 代表 片山 紀彦
設立 2024年6月2日
