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Field Note

フィールド・ノート  NO.Ⅳ

Category 樹木

樹洞 (じゅどう)

樹洞とは、木の中につくられた洞穴状の空間のことですが、その洞は単なる穴ボコではありません。

昆虫から鳥類、哺乳類などまで、森に生きる大小様々な生きものが、その穴を棲み家として利用したり、一時的に利用したりしています。

樹洞は、まさに森のマンション です。

 

樹洞の作られ方 / 利用のされ方

先ず、作られ方には大きく分けて2つのパーターンがあります。

A-自然災害

台風や積雪など、

自然の力によって

枝が根本などから折れる

B-キツツキが穴を開ける

目的は

  • カミキリムシなどの幼虫を食べる

  • 子育て用の巣作り

①木の傷口に雨が染み込んだり、陽が当たったりしているうちに傷口が腐り始めます。

 

②腐って柔らかくなったところをアリや昆虫が食べます。

 

③それを繰り返すうちに穴が大きくなり「樹洞」が形成されます。

利用のされ方

樹洞の入口の直径が 3~4cmになるとシジュウカラやヤマガラが巣に利用し始めます。

居心地の良い樹洞は世代交代を重ねたシジュウカラやヤマガラに10年以上利用されます。

開けられた穴は

  • 先ず真横に真っ直ぐに掘り進められる

  • 木の芯に到達すると下に向かって垂直に掘られ出産、子育てのために利用されます。

・穴は数カ月だけ利用されます。

 

一つの樹洞は利用されることにより少しずつ大きくなりますが、その時々の大きさに見合った多種類の生物に利用されます。

ジュウカラやヤマガラに10年以上利用された後に

 

例 ) 

①モモンガが20年ほど利用

②ムササビが30年利用 

③ フクロウなど大きな猛禽が50~100年利用

④テンやハクビシンも利用 

 

 

樹洞が更に大きくなるとツキノワグマが300年ほど世代交代を重ねながら利用します。

 

 

樹木医キツツキと

樹木の自然治癒力

キツツキに穴を開けられた木はほとんどダメージを受けないばかりか、木の「癌や疾患部」の部分を感知し、そこに穴を開け、掘り出すキツツキの行為により、木は癌や疾患部を治す事が出来ます。

また、キツツキの捕食により木にとって都合の悪い昆虫が駆除される事により健康を維持できます。

 

また健康な成長木の場合、開いた穴は5年ほどで埋まってしまいます。

 

約500~1000年、木の樹齢の限界まで、樹洞は様々な生き物に利用され続けます。

またその過程に於いて樹木は多種多様な生き物の糧にもなっています。

 

 

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