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Field Note

フィールド・ノート  NO.Ⅷ

Category 水棲生物

ホタル

「最近この辺りもめっきりとホタルが減っちゃったね。      

                  昔はあんなにたくさんいたのにね」

「そうだね。このままじゃホントにいなくなっちゃうかもね」

「んじゃ、地域起こしの助成金とか使ってホタルを養殖して増やそうぜ。」

「そうだな。子供も喜ぶし自然保護ってのにもなるしな」

「ほいじゃ早速ホタル養殖している業者から買って来ようぜ !!」

「おうっ !!」

 

と、つい私達は自然界の生きものに対しても「無くなり始めた」→「他から補充」と短絡的に考え行動してしまいがちですが

そんな短絡的なホタルの保護の仕方に警鐘を鳴らしている方がいらっしゃいます。

 

43年に渡りホタルの生態や生息環境などについて調査研究を続けてきた

東京ゲンジボタル研究所の古河義仁氏は氏のホームページ「東京にそだつホタル」で問いかけます。

 

 

 

「日本各地でホタルの飼育や養殖が盛んにって行われている昨今、水槽でたくさん飼育して、3月に幼虫を放流し、何百も成虫が飛んだと喜んでいる。

一体、何年放流し続ければ定着するのだろうか。

 

生態観察ではなく、いかに簡単に沢山の幼虫を飼育するかに終始する環境教育。餌とともに放つビオトープで成虫が産卵することはない。

 

自然河川があるにも関わらず、河川の保全には目もくれず、その隣に何千万円という税金で人工的なホタルの小川を建設することも珍しくない。

こうした施設の中には、担当者が変わっただけで飛ばなくなる所もあると聞く。

ホタルが生息できない環境にも関わらず、イベント用として養殖業者から購入して何千匹と放す。

 

彼らにとって、ホタルは単なる商品にすぎず、生態系だの遺伝子など関係ない。

法的規制がないホタルビジネスは、もはや3億円市場だ。故に養殖業者が跳梁跋扈する。

裏では、自然に発生している貴重なホタルが、次々と乱獲されているのである。

遠方への移動によって遺伝子攪乱も頻繁に起こり、固有種は絶え続けている。

 

餌として外来種の巻き貝も持ち込まれ、河川の生態系が崩れ掛けている。自然環境から離され、まつりやイベント等の客引きとして放される孤影悄然なホタルたちを見て、人々は自然環境に思いを馳せるのだろうか。真に癒されるのだろうか。

 

「美しい国、日本」は、どこへ行くのだろう。里山という自然環境の中で本来のホタルの姿と出会う時、私はいつもこう思う。「彼らのためにできることは何か」と。

 

 

 

…「自然を守る」ということがどういう事なのか。ホタルを始めとする自然界の命に寄り添うこととはどういうことなのかを私達は今一度、真剣に学び、考え、行動する必要がありそうです。

 

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