会について
about us
「高橋の虫送りをつなぐ会」
設立趣旨
代表 片山 紀彦
昭和41年、会津美里町指定重要無形民俗文化財に指定され、地区住民と地区保存会の努力により継承され、今年で56目回を数えるはずだった伝統行事「高橋の虫送り」。
近年のコロナ渦での2年の休止を経て一昨年、再開を果たしましたが、諸般の事情が重なり、本年度以降、保存会による継続が難しく事業廃止の運びとなり、併せて保存会も解散となりました。
少子高齢化と過疎化が加速度的に進み、地域コミュニティーが崩壊しつつある農山村の現状や農業の近代化による暮らしと価値観の変容を鑑みると、それは仕方のないことなのかもしれません。
しかし、虫送り事業の廃止は単に一地域の文化イベントの喪失だけに留まらないものと考えています。
ご存じの通り、私たち人間が地球の上で生きるためには自然の恵みが欠かせません。
水や空気は勿論のこと、私たちの暮らしと生命を支えるすべてのものを原材料まで辿れば、すべて自然界の産物です。
その自然の恵みは、自然界の多種多様ないきものと、それらのいのちの営みによって産み出され、またその働きが地球の環境を整えてくれている事は科学的にも解明されています。
自然と共にあった昔人達は、そのことを知ってか知らずか、自分たちが生きるために殺生をせざるをえなかった生き物たちに思いを寄せ、罪悪感や感謝をもって手厚く供養し虫たちの魂を送った…。
虫送りの起源には諸説ありますが、何よりも自然に対するその畏敬の念こそが「虫送り、虫供養」行事の本質にあり、その感覚が無ければ、成り立つはずのない行事だと考えます。
SDGsを持ち出すまでもなく、持続可能な社会の実現のためには、生存の基盤となる生物多様性の保全と共に人間中心の考えと生き方の是正が求められていますが、虫送りは自然と共にあった昔人の感覚を想起させてくれる貴重な行事であり、「自然共生の町」を謳う我が町には欠かせない行事であり、この国の明日のためにも残さなくてはならない行事であると考えています。
そしてこの度、虫送り行事の継承と共に、行事の背景を支えてきた、生きとし生けるもののが与えられたいのちを大切に全うできる地域づくりを目的とし、それを次世代につなぐため、地区在住の有志と存続を望む地区外の有志により「高橋の虫送りをつなぐ会」を設立し新たなスタートを切りました。
ご支援くださいますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
2024年6月2日設立