奥会津物語 鳥獣虫魚篇
- noribo
- 2024年11月3日
- 読了時間: 2分
昨年9月まで福島民友新聞に掲載していた会津学研究会の連載を書籍化した「奥会津物語~鳥獣虫魚の章」が本年9月に出版された。

奥会津に生きる人たちの暮らしと生業の風景に眼を凝らした丁寧なフィールドワークによる
聞き取りが納められた稀有な一冊。
編集は奥会津書房。
その冒頭につづられている、福島県立博物館元館長、同研究会の赤坂憲雄氏からのメッセージを抜粋しご紹介します。
「いま、奥会津の山深い里から、懐かしい未来を探すための旅がはじまる。
(中略)
奥会津の山野や川のほとりを舞台にして、生きとし生けるものたち、鳥や獣や虫や魚との交わりが重ねられ、たくさんの物語が紡がれてきた。その不思議に満ちた、たとえば交歓の物語のかけらを求めて、会津学研究会の仲間たちが小さな旅をくりかえしてきた。その、ささやかな結晶のような物語の群れが、ここには収められている。
(中略)
それらの物語のなかには、きっと数千年のときを超えて、縄文時代から繋がれてきた人と鳥獣虫魚との交わりの体験が宿されているはずだ。そして、それは来るべき未来がやがて必要とするにちがいない、知恵や技の母胎ともなることだろう。懐かしい未来のためにこそ、いま、ここで、物語を探す旅が求められている。
この書は、奥会津という土地と、そこで生き死にを重ねてきた数も知れぬ先人たちに、そして、獣や鳥や虫たちに感謝とともに捧げられる。
わたしたちの未来への貢ぎ物として。」
このメッセージは高橋の虫送りをつなげたいと考える私の思いと深い処で重なる。
高橋の虫送りは単に伝統行事を残すために模倣するイベントではない。
氏の言葉をままお借りしてここに記そう。
高橋の虫送りは「来るべき未来がやがて必要とするにちがいない、知恵や技の母胎ともなる」ことを確信している。
我が高橋の虫送りは「懐かしい未来のためにこそ、いま、ここで、物語を探す旅」なのである。
■奥会津物語 鳥獣虫魚篇
紀伊国屋書店 web
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